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児童発達障害の種類や症状

児童発達障害の種類や症状の目次
「アライさんの発達ガイド」ナビゲーター・アライさん

発達障害という言葉は知っているものの、具体的にはどのようなものなのかよくわからない、と感じている方も多いのではないでしょうか。そこで、こちらの記事では児童発達障害の種類や症状について紹介しています。

どのような発達障害があり、どのような対応が必要になっていくのかといった点についてまとめました。

発達障害とは

発達障害とは、生まれつきの脳の発達が関係し、幼児のうちから行動面・情緒面に特徴がある状態です。この発達障害には、「自閉スペクトラム症(ASD)」や「注意欠如・多動症(ADHD)」、「学習障害(LD)」、「チック症」、「吃音」などが含まれていますが、同じ障害名でもひとりひとり特性の現れ方が異なりますし、いずれかひとつではなく複数の発達障害が見られるケースもあります。

発達障害が見られる場合は、得意・不得意があったりコミュニケーションを取ることが苦手であったりするために、社会生活において困難を生じるケースもあります。しかし、適切な療育につないだ上で特性に合った学びの機会を用意することによって、これらの困難を軽減してさまざまな能力を伸ばしていけると考えられていますので、個性や能力、希望といった点を理解し、それぞれに合ったサポートの提供を行うという点が必要となります。

発達障害の種類

自閉スペクトラム障害(ASD)

自閉スペクトラム障害(ASD:Autism Spectrum Disorder)は、自分の気持ちを伝える・相手の気持ちを読み取るといった社会的なコミュニケーションや対人関係を築くのが難しい、また特定のことにこだわりを持っていたり、特定のことに対して強い関心を持っている感覚が過敏であるといった特徴を持っている発達障害のひとつです。症状は幼少期から認められ、早い場合には1歳半の乳幼児健康診査によって可能性を指摘されるケースもあります。

この自閉スペクトラム障害(ASD)は、自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害などが統合されてできた診断名となっています。その特性の程度や現れ方についてはひとりひとりによって異なるため、例えば話し言葉がないといった場合から、言葉は流暢に出るものの会話の双方向的な展開が苦手といった場合など、さまざまなケースが含まれています。

注意欠如・多動症(ADHD)

注意欠如・多動症(ADHD:Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder)は、「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」とも呼ばれますが、落ち着きがなく注意を持続することが難しい、気が散りやすい、物を失くしたり忘れ物をしやすい、待つのが苦手などでルールを守ることが難しいといった行動が多く見られます。

上記の通り、「不注意(集中力がない)」「多動性(じっとしていられない)」「衝動性(思いつくと行動してしまう)」といった症状が見られますが、大きく分けて「不注意優勢に存在」「多動・衝動優勢に存在」「混合して存在」といった3つの種類に分類されており、それぞれの症状や特徴や行動は人によって異なります。

以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名となっていましたが、2013年に「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」と変更されています。

学習障害(LD)

学習障害(LD:Learning Disability)とは、全体的に知的発達の遅れは見られないものの、例えば「聞く」「書く」「計算」など、特定の課題の習得のみに困難が生じる発達障害です。

学習障害は、文章を読むのが極端に遅く、たびたび読み違えることがある「読字障害(ディスレクシア)」、文字を書く・文章を作ることが困難な「書字障害(ディスグラフィア)」、計算や推論が困難な「算数障害(ディスカリキュア)」という3種類に分けられています。読字障害がある場合には、書字障害も伴いやすい傾向があるとされています。

学習障害も人によって症状やその現れ方が異なります。そのために本格的な学習が始まる小学生ころまでは気づかれにくい障害である点も学習障害の特徴のひとつです。このことから「勉強不足」「努力が足りない」と見られてしまい、障害を見過ごされるケースも多い点に注意が必要です。

チック症

チック症とは、本人の意思とは関係なく、思わず起こってしまう素早い体の動きや発音です。

例えばまばたきや口を歪める・舌を突き出す、首を左右に振るといった「運動チック」や、鼻や舌を鳴らす・咳払いをするといった「音声チック」といった症状があります。

こういったチック症が子どもに見られるケースは珍しくないため経過を見ることになりますが、1年以上も症状が持続し、日常生活に支障が出る場合には「トゥレット症」と呼ばれます。

吃音

吃音は、話をしようとした場合に最初の1音を繰り返してしまったりするなど、なめらかに言葉が出てこないといった症状が出てくる発話障害のひとつです。他にも音を引き延ばす言葉を出せずに間が空いてしまうといった症状が見られます。

発達障害のサイン・症状

自閉スペクトラム障害(ASD)のサインと症状

自閉スペクトラム障害(ASD)では、下記のようなサインが見られることがあります。

  • 目を合わせない
  • 指差しをしない
  • 微笑み返さない
  • 後追いが見られない
  • 他の子どもに関心を示さない
  • 言葉の発達が遅い
  • こだわりが強い
  • かんしゃくを起こすことが多い
  • 保育所などでひとり遊びが多い・集団行動が苦手

上記のほかにも、言葉を話し始める時期は遅くなかったものの、ほかの人と相互的に言葉のやりとりをすることが苦手で自分のことばかり話すといったケースや、自分の興味のある内容について何時間でも熱中して取り組むといったケースもあります。

成長するにつれて対人関係でさまざまな人や場面でのコミュニケーションを取る場面が増えること、また学習や仕事においても多彩な能力を求められるようになっていきますが、仕事をする上でどうしても臨機応変に対応できない、対人関係がうまくいかない、家庭生活がうまくいかないといったことなどで悩んでしまい、精神的な不調を伴うケースも見られます。

このように、幼少期のみならず成人期になってからも支援を必要とする場合もあります

注意欠如・多動性障害(ADHD)のサインと症状

注意欠如・多動性障害(ADHD)では、下記のようなサインが見られることがあります。

  • 落ち着きがない
  • すぐに席を離れる
  • 大人しく遊んでいることが難しい
  • 順番を待つことが難しい
  • ほかの人の会話やゲームなどに割り込む
  • 学校の勉強でのミスが多く見られる
  • 課題などへの集中が続かない
  • 話しかけられても聞いていないように見える
  • やるべきことを最後までやり遂げられない
  • 忘れ物・なくし物が多い

上記のようなサインが見られるとされていますが、ひとりひとり現れる特性は異なります。また、成長すると、計画的に物事を進めることが困難だったり、ほかのことを考えてしまう、感情をコントロールするのが難しいといった症状が見られる場合も。このような症状とともに、気分に波がある・気分が落ち込むといったような精神的な不調が見られるケースもあります。

学習障害(LD)のサインと症状

学習障害(LD)では、下記のようなサインが見られることがあります。

  • 言葉を話すのが遅い
  • 言葉を覚えるのが遅い
  • 文字を覚えない
  • 文字を正しく書けない
  • ほかの子供と比べると不器用である

学習障害においては、聞く・読む・話す・書く・計算する・推論するといった特定のことが苦手といった症状が見られます。ただし、症状が軽い場合などは気づきにくいという面があり、小学校に上がって本格的に学習が始まった頃に、やる気はあるにもかかわらず勉強についていけない、なかなか成績が上がらないといったことによって、学習障害が明らかになる場合もあります。

発達障害のお子様について

自閉スペクトラム障害(ASD)の方が困っていること

言葉の遅れ

例えば言葉が出てこないなど、自閉スペクトラム障害の場合には言葉の遅れが見られる場合があります。年齢に対して言葉の発達が大きく遅れているために周りの大人や子どもとの言葉を使ったやりとりが難しく、希望を伝えることや相手が自分に対して何をして欲しいのか、という点を理解することが難しくなります。

周囲とのコミュニケーション

コミュニケーションを取ることが苦手であり、集団行動が苦手になる場合があります。また、相手が何をして欲しいのかを理解するのが難しいために喧嘩に発展するケースや、自分の要望や気持ちを相手にうまく伝えられずに癇癪を起こすケースも見られます。

こだわりの強さ

急なスケジュール変更があると動けない、決まったおもちゃでしか遊ばないなど、日常に支障が出るほどのこだわりを見せるケースがある点も自閉スペクトラム障害の特徴です。周りからの注意によってこだわりを直すことは難しく、無理にこだわることをやめさせられそうになった場合などにはパニックを起こす場合もあります。

癇癪・自傷行動

自分が気に入らないことや思いもしなかったことがあると癇癪を起こしたりするとともに、髪の毛を脱いたり手や爪を噛む、壁に頭をぶつけるなど自分を傷つけるような行動を起こす場合があります

感覚過敏

音や光に敏感であるために、刺激を嫌がるといった場合もあります。場合によっては決まった服しか着られないことも。刺激を避けるために人との関わりを避けたり、活動範囲が狭くなるといったケースも見られます。

感覚鈍磨

刺激や痛みを感じにくい、ということもあり、怪我をしていても気にならなかったり、周りから声をかけられても気づかなかったり、といったケースが見られます。さらに、より強い刺激を求めてしまい危険な行動を取る場合もあります。

注意欠如・多動性障害(ADHD)の方が困っていること

集中できない

何かやるべきことがあったとしても集中できない場合があります。例えば授業中に話を聞く、本を読むなどしていたとしても、少し時間が経つとほかのことをやり始めてしまい、注意されるといったケースやなかなか物事を進められないといったケースが見られます。

忘れ物や不注意

うっかりミスが多い、忘れ物が多いといったケースや、整理整頓が苦手といったこともあるため、必要なものをどこにしまったのか忘れてしまうことも。人との約束を忘れてしまってトラブルに発展するケースもあります。

我慢ができない

順番を待つことや黙って座っていることなどが苦手であるために周りの人とトラブルを起こしてしまう、といったケースもあります。また、感情のコントロールが難しく、カッとしたりイライラしたりすることも多くなります。

行動のコントロールができない

おしゃべりがやめられなかったり、誰かの指示で動く・周りと合わせて行動するといったことが苦手なので、集団行動が難しくなる場合があります

学習障害(LD)の方が困っていること

読み書きが苦手

読み間違いや読むスピードが遅いといったことや、書くことが苦手で文字の形を正確に書けなかったりします。また、文章での表現が苦手であるために、作文が難しいといったケースもあります。

算数が苦手

数を理解する・数を覚えることが難しいケースでは、算数が苦手になります。数の理解が困難であるために計算ミスが多い、数式を使って考えることが苦手であるために複雑な計算などがなかなかできない、というケースもあります。

できない理由が理解されない

学習障害の特徴として、特定のものが苦手であるという点が挙げられます。そのため「ほかのことはできるのに、なぜこれはできないのか」といったようにできない理由をなかなか理解してもらえず、怠けているといった誤解を受けるといったケースもあります。

子どもが発達障害かもと思ったら

子どもが発達障害かもしれないと感じた場合には、可能な限り早めに専門機関への相談を行いましょう。まず相談をする先としては、下記のような施設が考えられます。

  • 地域の子育て支援センター
  • 家庭児童相談室
  • 児童相談所
  • 保健センター
  • 発達障害者支援センター
  • 療育センター

発達障害の相談をしたくても、保護者自身でいきなり専門的な機関を見つけるのは難しいこともあるかもしれません。その場合には、上記に挙げている地域の子育て支援センターのような、相談しやすいと感じるところに一度相談をすることがおすすめです。他にも、かかりつけの小児科で相談する、1歳半検診や3歳児検診の際に保健師や医師に相談するという方法もあります(子どもの場合には、小児科や児童精神科などで診療を受けられる場合もあります)。

こういった相談機関では、必要に応じて発達検査を行える場合もありますし、専門の医療機関に繋げてくれるなどさまざまなサポートを提供しています。また、発達障害を専門としているクリニックもありますが、ここでは検査や診断を行った上で、それぞれに合った治療を受けられます。

発達障害の検査では、発達の特性や困難について客観的に見るための「発達検査」や「知能検査」を行うことがあります。また、知能検査は知的能力の程度を調べるためにも用いられています。そのほか、子どもの行動を観察したり、生育歴や現在困っている内容などを確認することによって検査を行っていきます。

これらの検査や問診などの結果をもとに、総合的に発達障害について医師が診断を行いますが、経過監察を行うためにすぐに診断が行われないといったケースもあります。いずれにしても、発達障害の疑いがあると感じた時には、専門機関への相談を行うことが大切です。

発達支援の重要性について

発達障害への支援や治療法

発達障害が見られる場合には、「療育(発達支援)」と必要に応じて「薬物療法」が用いられます。

療育(発達支援)は、障害を持っていたり、障害の可能性がある子どもに対して行われるもので、困りごとを解決すること、さらに将来の自立と社会参加を目指した支援が行われます。ただし、それぞれの発達スピードが異なることから、障害特性や発達状況などに応じた関わりを持つことで、できることを増やしていく・隠れている力を引き出していきます。

また、症状など必要に応じて薬物療法を用いることもあります。薬物療法では、脳内の神経伝達物質のバランスを改善・調整して症状をコントロールします。薬は症状の緩和を目的として用いられますが、医師と良く話し合った上で容量・用法を守りながら服用していくことが大切です。また、薬は原則として6歳以上から処方が可能となっています。

必要に応じた発達支援が必要

発達障害の場合には、必要に応じた発達支援が大切になってきます。そのためには、子どもの特性に早めに気づき、それそれの特性に合った関わりを持っていくことが必要です。

発達支援は、下記のような機関で受けることができます。

  • 児童発達支援・放課後等デイサービス
  • 幼児教室・学習塾

「児童発達支援・放課後等デイサービス」では、集団・個別での支援が行われています。施設によってどのような支援が受けられるかが異なりますので、あらかじめ見学をするなどして確認しておく必要がありますが、利用するためには「通所受給者証」が必要となります。

また、「幼児教室・学習塾」でも、発達が気になる子どもを対象としたサービスを提供しているところがあります。こちらは「通所受給者証」がなくても通うことができ、運動能力を伸ばす、ソーシャルスキルを伸ばすといったように教室ごとの特性がある点が特徴といえるでしょう。

このように、発達障害が見られる場合には、必要に応じた発達支援が受けられるようにする、といった点が大切になってきます。さらに、療育が受けられる機関による支援だけではなく、家庭でどのように関わっていくかという点も子ども自身の過ごしやすさに関わってくるポイントであると考えられています。

アライさんより
どの施設が子どもに合っているか
確認することが大切

こちらのページでご紹介してきたように、発達障害にはさまざまな種類があります。

その中でも、どのような特性があるのかは人それぞれであることから、ひとりひとりに合った発達支援を行っていく必要があるといえるでしょう。

もしも発達障害かもしれないと思ったら、できる限り早く専門機関に相談することが大切です。そのためにも、まずは相談しやすいかかりつけ医などに話をしてみるのも良いでしょう。そこから、さらに相談する先につなげることができます。また、早めに相談ができればその分早く必要な支援などを受けられます。

こちらのページでは、エリアごとの児童発達支援センターや事業所も紹介していますので、ぜひ活用してください。それぞれの施設で受けられる支援も異なってきますので、どこが子どもに合っていそうかを考えながらチェックしてみてはいかがでしょうか。

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