子どもが発達障害かも?と思ったときは
「子どもが発達障害かも?」と思った時に、幼児の発達相談や診断ができる相談先を紹介しています。
持参した方がいいものや早期に気づくことの大切さ、発達障害の診断がついたときの対応などについて、まとめたので参考にしてください。
お子さんの発達障害の相談先・
7つの選択
主な発達障害の相談先は7つあります。
自宅から近い場所や、もしあれば周囲の人からのおすすめ、普段の関わりなどから相談しやすい場所を選びましょう。
児童発達支援事業所
通所施設を有して障害児やその家族に対する支援を行う療育の場です。
事業所ごとのカラーや理念、ビジョンなど、お子さんに合う事業所を選ぶことができます。
保健所・保健センター
地域の保健所や保健センターでも身体面だけでなく、情緒面の発達に関する相談に対応しています。
3歳児検診などで保健師とも面識があるので、気持ち的に相談しやすいかもしれません。
発達障害支援センター
各自治体には、発達障害のお子さんの総合的な支援を行う専門機関が設置されています。
保険や医療、福祉や教育、労働など、さまざまな関係機関と連携することにより、横断的な相談が可能です。
発達障害に関する専門家からアドバイスを受けることができます。
児童相談所
虐待に関する対応だけと思われがちですが、「性格・行動」「しつけ」「発達」など、さまざまな相談に対応しています。
ベテランのケースワーカーのほか、心理士も常駐しており発達の状態を検査することも可能。
保護者様がひとりで抱えているかもしれない、育てにくさの悩みに寄り添ってくれます。
嘱託医である児童精神科医による診察、診断も可能です。
教育相談所・教育センター
教員や教育委員会事務局員など、教育に携わった経験が豊富なスタッフが教育という観点から相談に乗ってくれます。
とくに学習障害や不登校など、学びや学校に関する相談に精通。
来所相談のほか、電話による相談にも対応しており、関係機関の紹介も可能です。
専門医
発達障害児の診察や診断に関する相談は、子どもの発達障害の診断の経験が豊富な小児神経専門医や児童精神科医を受診することをおすすめします。
日本小児神経学会や日本児童青年精神医学会では、ホームページで認定専門医の名簿を公開しているので、参考にしてください。
大規模病院に発達障害の専門外来が設置されている場合もあります。
かかりつけ医
かかりつけの小児科医は、お子さんの成長過程をよく知っており、気軽に何でも相談することもできる存在。
発達障害が専門でなくても、観察や定期健診などにより、医師の方から発達相談・検査を勧められる場合も。
適切な医療機関や医師を紹介してもらえるケースもあります。
相談に行くときに
もっていくといいもの
発達障害は、先天的な脳の異常を原因とする子どもの特性であるため、成育歴や普段の様子の記録が特性を知る重要な資料となります。
相談の際には以下のものを持参するとスムーズです。
普段の様子のメモ
発達に障害のあるお子さんは、初めての場所やイベントにパニックを起こしてしまうこともあり、相談時に日常と同じように臨むことが難しいもの。
普段の様子で特に気になる様子や行動など、医師や相談員に伝えるべきことを箇条書きでメモにまとめておきましょう。
アルバム、育児日記、動画など
アルバムや育児日記、動画などは、たとえば「一人遊びを好んでいた」「言葉をかけても振り向かない、目が合わない」「友達と交われない」など、お子さんの特性を確認できる参考資料となります。
とくに、育児日記をつけていれば、気になることを書き記していることも多いため、相談先の人が、特性を知る手がかりになるでしょう。
母子手帳や保育園・幼稚園などの
連絡ノート
妊娠中や出産時の様子、発語の時期などは母子手帳で確認することができます。
また、保育園や幼稚園などの連絡ノートは、ふだんの家庭や園で気になることが記録されていることも。お子さんの言動の様子から特性を知る手がかりになります。
そのほかにあるといいもの
筆記用具、乳幼児健診などの検査結果、健康保険書、紹介状などです。
保護者様を楽にします
「なぜ、いつもかんしゃくやパニックを起こすの」「なぜ、よその子どもと同じことができないの」「なぜ、言うことがきけないの」など、「なぜ、なぜ」で押しつぶされそうになる保護者もいるのではないでしょうか。
しかし、実はいちばん生きづらさを感じているのはお子さん本人です。
発達障害の相談は、「お子さんを発達障害にしてしまうのではないか」と躊躇する保護者様もいると聞きますが、特性を理解し、適切な対処法で生きやすい環境を整えるための第一歩。
お子さんの言葉にならないSOSのサインに早めに気づいてあげられたことは、「えらい!」以外の何者でもありません。
早い気づきでお子さんの二次障害を回避できるだけでなく、保護者も楽にしてくれます。
以下に、児童発達支援のまとめや、エリアごとの児童発達支援センター・事業所へのリンクを置いたので、ぜひ参考にしてください。
相談=発達障害確定では
ありません
発達障害かどうかを判断する基準はいくつかありますが、すぐに確定診断がでないことがほとんどです。
確定ではなくても、発達障害に関する支援は受けることができますので、安心してください。
たとえば広汎性発達障害の場合、生育環境や愛情不足の影響が大きい反応性愛着障害との区別は難しいもの。
特性のあらわれ方も成長過程によって異なります。
明確に診断がつくのは、自閉スペクトラム症なら4~5歳頃、ADHDなら5~7歳頃と言われており、個人差もあります。
様子を見ようと言われた場合には、定期的な受診や相談を継続することが大切です。
診断名がついたときは
発達障害の確定診断がでた場合は、どうすればいいのでしょうか。
発達障害の診断はゴールではなく、お子さんが能力を発揮できる生きやすい環境を整える第一歩であることを理解することが大切です。
プラスの面がたくさん
「なぜ、いつもかんしゃくやパニックを起こすの」「なぜ、よその子どもと同じことができないの」「なぜ、言うことがきけないの」など、「なぜ、なぜ」で押しつぶされそうになる保護者もいるのではないでしょうか。
発達障害の確定診断がでると、「障害」という響きからショックを受けてしまう保護者も少なくないでしょう。
このサイトのライター・kenさんが、児童福祉司時代に、嘱託医から「診断だけでは意味がない。
何のために診断が必要なのか」と問われたことがあるそう。
続けて、「お子さんの特性を理解し、家庭や園(学校)で配慮、支援してもらうことが目的なら診断をつけます」と言われました。
診断は、無理に受容する必要はなく、お子さんのありのままの特性を理解するためのもの。
診断名がつくことで、保護者、園(学校)の理解、適切な支援につながるというプラスの面を考えましょう!
わが子を信じて、
いい部分を引き出してあげて
発達障害の診断書はそのままでは1枚の紙きれにすぎません。
大切なことは、わが子の特性を受け入れて、関わり方や支援の仕方を学び生きやすい道を整えてあげることです。
発達障害は、同じ自閉スペクトラム症という名前でも、その特性は千差万別。
診断名に振りまわされず、強みと弱みをよく理解して、わが子の可能性を信じましょう。
各界の第一線で活躍している著名人の中には、発達障害の診断を受けている人が少なくありません。
発達障害のある人は、自分が得意とする分野で超人的な能力を発揮することも。
お子さんのできないことではなく、できること、いい部分を引き出して能力を最大限に発揮できるようにしてあげましょう。
家族や周囲から
理解を得られない時は
発達障害の相談や診断は、保護者にとってはとても勇気のいることですが、それ以上に家族や周囲には抵抗があり、理解も得られにくいことも。
「子どもを傷つける」「障害なんかじゃなく育て方の問題だ」とたしなめられることも、相手の理解度や性格によってはないとは言えません。
しかし、いちばん近くでお子さんを見ていて理解しているのは保護者です。
違和感や独特な育てにくさを感じたら、なるべく早い時点で専門機関に相談、受診しましょう。
一人で悩みを抱え込んでいる保護者の気持ちに寄り添ってくれるだけでなく、家族や周囲の無理解への対処法や折り合いの付け方などのアドバイスももらえますよ。
悩んでいるときは
配偶者、祖父母、保育園や幼稚園、職場などで、いまだに「発達障害」への理解が乏しい人がいるのは、まだまだあるよう…。
距離が近ければ近い人の場合、怒りを通り越して哀しくなってしまうこともあると思います。
次のページでは、周囲の理解が得られないときの対応をまとめたので、困っている保護者様は、ぜひ参考にしてください。