児童発達支援
児童発達支援について、療育との違いや事業所の選び方、児童発達支援センターと事業所の概要や具体的な支援内容、自宅での支援に効果的な教材などについて紹介しています。
児童発達支援とは
子どものことや障がいのことについて調べていると「児童発達支援」という言葉を目にする機会が多いのではないでしょうか。この児童発達支援とは、児童福祉法に基づき集団や個別療育を行う障がい福祉サービスのことをいい、主に未就学のお子さまが対象となります。障がいのあるお子さまに対する発達支援やご家族に対するサポートを中心とし、日常生活における基本動作や知識・技術を習得するための支援や、幼稚園や小学校への入園・入学に向けた集団生活への適応訓練などを行っています。多様性の世の中を実現・継続するためには全ての人に対して平等に学ぶ機会が与えられる必要があるため、社会的にも非常に重要なサービスとなります。この児童発達支援を受けることで、必要なスキルを早期に獲得することができ、社会生活における困難さが緩和されます。
児童発達支援の対象は?
先にも触れた通り、児童発達支援の対象は主に「未就学で障がいのあるお子さま」です。基本的には「身体に障がいのあるお子さま」「知的障がいのあるお子さま」「発達障がい児を含む、精神に障がいのあるお子さま」が対象とされていますが、自治体によっては診断がなくても療育の必要性が認められたお子さまも対象となることがあります。
何歳が対象?
児童発達支援は「障がいのある未就学のお子さま」が対象であると紹介しましたが、年齢でいうと0歳から6歳のお子さまが対象になります。7歳からは小学校に入学することとなりますので、児童発達支援の対象ではなく放課後等デイサービス等を利用することが多くなるでしょう。
障害者手帳は必要?
児童発達支援を受けるにあたって、障がい者手帳を持っている必要があるのか?を気にしている方は多いのではないでしょうか。結論からいうと障がい者手帳の取得や医学的な診断(診断書)の必要はなく、医師などから療育の必要性があるという判断をされれば各自治体の裁量によりサービス・サポートを利用することが可能な制度となっています。
児童発達支援のサービス内容
本人支援
健康・生活
着替えや食事・トイレ・片付け・持ち物管理など日常的に行う必要がある基本的な生活動作に関して、それぞれのお子さまの発達段階に合わせて習得するための支援やサポートを行っています。
運動・感覚
ブロックとボール、などのように複数の道具を用いた運動など、全身を動かす大きくまとまりのある動き「粗大運動」や、机の上で手先を使って行う工作課題などのように細かくて複雑な運動「微細運動」などの発達を促すためのサポート・支援を実施します。
認知・行動
「色」「数」「大きさ」「長さ」「高さ」などといった比較に関連する基本的な概念、言語理解などの認知発達を促すサポートを行います。指導の過程においては指示を聞いたり順番を待ったりといった場面に応じた行動も経験できるよう支援が行われます。
言語・コミュニケーション
意味のある言葉「有意語」や単語を2つ組み合わせる「2語文」を増やしていくなど、発語や発話を促す支援を行います。また、語彙や簡単な文章、指示の理解を促すサポート、言いたいことを相手に伝えるためのやりとりを促すサポートも行います。
人間関係・社会性
小集団や集団でゲームやソーシャルスキルトレーニングなどを行い、「ルールを守ること」「指示を聞いて行動すること」「挨拶や謝罪・返事をすること」などを通じて対人関係において基本となる関わり方や接し方を学ぶサポートを行います。
移行支援
障がいの有無に関わらず、全てのお子さまが共に成長していけるよう可能な限り地域の保育や教育などの支援を受けられるようにし、同年代の子ども同士で仲間づくりが行えるよう支援を図ります。
家族支援
ご家族が安心して育児を行えるよう、不安軽減を目的とした物理的・心理的な支援を行います。具体的には指導後のフィードバックや保護者との面談、コミュニケーションの取り方などに関する相談・助言などを行います。
地域支援
支援を利用するお子さまが地域で適切なサポートを受けられるよう、関係各所と連携を強化する取り組みです。また、地域の子育て支援力を高めるためのネットワークの構築サポートも行います。
児童発達支援での1日の流れ
児童発達支援において、てらぴぁぽけっとでの1日の流れの一例と、代表的な支援内容について紹介します。
まず朝は10時前に施設へ到着する形となり、順番に健康状態の確認や連絡帳の提出、水分補給・トイレ・荷物整理・着替えなど必要な準備を済ませます。この際、個別に応じた支援を行うことで出来ることを増やしていく形となります。準備ができたらリズムウォークで身体を動かし、その後は「はじめの会」であいさつや出席確認・スケジュールの確認などを行います。
その後は個々の目標や持っている障がいの特性などに応じて、今後社会で生活を送るうえでのさまざまな課題に対してチャレンジを行う個別支援を行います。そして個別支援が終わったあとは小集団で「帰りの会」を実施し、待つ・座る・順番を守るなどのルールの理解も学びます。そして帰り支度を済ませた後は保護者の方のお迎えに連れられて帰宅しますが、きちんと他のお子さまやスタッフにあいさつができるようここでも促しを行います。
児童発達支援を利用する際の流れ
1.問い合わせ
まずは施設選びを経て、利用したい施設に対する問い合わせを行います。この段階で保護者をはじめご家族の中にはさまざまな不安を抱えていることもあるでしょう。どんな小さな悩みでも早めに相談することが重要です。多くの施設ではメールフォーム、もしくは電話での受付を行っています。今後の流れも含めた案内を受けられるよう、自身の情報提供などを含めて問い合わせを行いましょう。
2.相談
問い合わせを踏まえて相談スケジュールの調整を行い、実際に施設の担当者と支援に関する相談を行いましょう。多くの場合では「ぜひ一度施設へお越しください」という流れになるのではないでしょうか。実際に通う施設の雰囲気を見ておくことはとても重要ですので、訪問して相談することをおすすめします。対象となるお子さまがご一緒でもいいでしょうし、まずは保護者・ご家族の方のみで行ってもいいでしょう。
3.体験
「自分の子どもにこの施設は合うのか?」「ここはどんなことをする施設なのか?」「自分の子どもはうまくやれるのか?」など、通い始めるまでには多くの不安が出て来るでしょう。そのためほとんどの施設では体験教室を実施しています。実際にお子さまが施設内で一日を過ごしてみることで、利用開始後の具体的なイメージが湧いてくるでしょう。児童発達管理責任者などの専門スタッフが個別面談も含め支援を行い、メンタルケアも実施してくれます。
4.受給者申請
実際に児童発達支援施設を利用するためには、自治体に対して「通所受給者申請」を行う必要があります。この手続きを踏まなければ児童発達支援という社会福祉サービスを受けることはできませんので、必ず行う必要がある手続きです。また、これらの手続きは児童発達支援施設のスタッフの方たちでも申請のサポートを行ってくれますので、不安な方や手続きの仕方が分からない方などはぜひ相談してみましょう。
5.審査結果を待つ
受給者申請を行ったあとは、受給者証が交付されるかどうかの審査が行われます。これは受給者証を発給するにあたって利用要件を満たしているかどうか、また子どもにとって必要だと考えられるサービスの日数などについて、自治体の担当窓口による検討が行われます。場合によっては面接調査や訪問調査などが行われることもあり、状況聞き取りやアセスメント・サービス利用意向のヒアリングなども実施されることがあります。審査はそれらの後行われますので、結果が出るまで1か月から2か月程度を要することもあります。
6.受給者証交付
支給が決定されるといよいよ受給者証が交付されることになります。この受給者証は郵送で届く場合や直接自治体窓口に取りに行く場合などさまざまです。交付を受けたあとには「障がい児支援利用計画」を作成することになりますが、これは相談支援事業所が受給者証にある給付決定内容に基づいて利用を希望する施設と連絡・調整して作成してくれることになります。なお、受給者証には支援の種類や有効期間、支給量(日数)などが記載されることとなります。
7.利用開始
全ての手続きが完了したらいよいよ通所開始となります。もちろん公的な制度を利用して通所を行いますので、口約束で通い始めることはなく施設・事業所とサービスを受けるための契約手続きを行うことになります。お子さまによって支援の必要度合いも異なりますので、困り事・ニーズを相談しながら必要な支援についてすり合わせを行います。また、支援開始後も必要に応じて相談をし、子どもの成長に合わせた支援が行えるようしっかりと連携をとるようにしましょう。
児童発達支援と放課後デイサービスの違い
「児童発達支援」と同じくらい「放課後等デイサービス」という言葉も耳にする機会があるのではないでしょうか。この違いについて、皆さんは正確に理解されていますか?
放課後等デイサービスも児童発達支援と同じ2012年に開始された取り組み・事業であり、それ以前は「児童デイサービス」と呼ばれていました。内容としては基本的に異なる部分がないものの対象となる子どもの年齢にその違いがあります。児童発達支援は6歳までの未就学児童が対象と説明しましたが、放課後等デイサービスでは小学校に入学する6歳から18歳までの就学児が対象となります。また、お子さまの状況次第ではありますが、20歳まで制度を利用できるケースもあります。
療育と発達支援はどう違う?
療育と児童発達支援の違い、療育を受けられる場所や具体的な療育の方法について紹介しています。
療育とは、医療行為の有無や障害種別に関わらず、障害のある子どもやその家族を指導、支援するもの。児童発達支援センターや児童発達支援事業所も療育に含まれます。
療育はどんな場所で受けることができるのか、また、具体的な療育の方法、種類にはどんなものがあるのかについても解説。さらに、療育を受けるメリットや療育を反対された場合の対処法などについても紹介しています。
児童発達支援事業所の選び方
発達に障害や不安のある子どもに療育を行う児童発達支援事業所の選び方について紹介しています。
児童発達支援は、公的な療育機関だけでなく、民間の事業所でも受けることができます。ただ、数が多いため、何をポイントにして選べばよいか迷うこともあるでしょう。
このサイトでは、児童発達支援通所につなげるための情報収集の仕方をはじめとする事業所の選び方や具体的な療育方法のほか、児童発達支援事業所を選ぶ際の重要なポイントについて説明しています。
児童発達支援センターと
事業所でやれること
児童発達支援センターと児童発達支援事業所の違いや具体的な支援内容について紹介しています。
どちらも障害のある子どもやその家族を支援する施設ですが、センターは療育だけでなく相談や事業所への援助や助言をする地域の中核的な施設。一方、事業所は専ら療育を行う場です。
障害児通所サービスを利用する際に必要な費用や児童発達支援事業所の1日の流れ、児童発達支援を利用することで、子ども、保護者が得られるメリットなどについてまとめています。
児童発達支援事業所での
活動や教材
言葉によるコミュニケーションが苦手な発達障害児の児童発達支援の教材のひとつとして「絵カード」を紹介。絵カードは、ピクトグラムのように誰にとってもあれば便利で助かるものであり、決して特別なものではありません。
発達障害児にとっては、自分や人の気持ちや意思を伝え合うのに有効であるだけでなく、物事の手順を理解できるメリットも。絵カードをどの場面でどのように使用すればどんな効果が得られるのか、また、アプリの活用についても説明しています。
児童発達障害の種類や症状
発達障害という言葉は知っていても、具体的にはどのようなものなのかよくわからない方に向けて、児童発達障害の種類や症状について紹介しています。
どのような発達障害があるのか、どのような対応が必要であるのか等についてまとめています。