ダウン症候群(21トリソミー)
「ダウン症」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。ここでは「ダウン症候群」(21トリソミー)の原因や特徴、行動について紹介・解説します。正しい知識を身に着けて、他人に寄り添う心構えをしておきましょう。
ダウン症候群(21トリソミー)の原因
細胞の中にあり複数の遺伝子が記録されている構造体を「染色体」といいます。通常、ヒトの染色体は1番目から22番目までそれぞれペアになっていますが、ダウン症候群は21番目の染色体が1本多く3本になっています。これが原因でダウン症候群になるといわれていますが、さらにその原因は精子や卵子が作られるときに染色体の不分離が起こるためと考えられています。しかしながらなぜそれが発生するのか、は明らかになっていません。
ダウン症候群(21トリソミー)の特徴
ダウン症候群の出生頻度は約1,000人に1人の割合であるといわれており、日本では1年間に約1,100人程度生まれているとされています。ダウン症候群に見られる特徴・傾向としては、心臓や呼吸器・目・耳・鼻などに合併症を持つというものがあります。平均寿命も短いといわれていましたが、近年では医学が進歩するとともに治療・健康管理が充実したことで伸びている傾向にあります。
ダウン症候群の子どもの発達としては運動や知能・言葉・社会性などの全般においてゆっくりになる傾向ではありますが、一人一人の個性に合わせて丁寧に対応することで能力をしっかりと引き出すこともできます。最近ではしっかりと勉強に励む方も増えてきており、さらに早期療育によって早い段階からさまざまなスキルを身に着ける機会も増えてきています。
ダウン症候群のお子様にみられる行動
ダウン症候群のお子さまは呼吸器系の合併症や口の筋肉の発達がゆっくりなことが影響しことばに不明瞭さが見られることがあります。また、後天的に難聴になることもあります。1歳~2歳くらいになっても声掛けに反応しない・発声が少ないなどといった様子がうかがえるようであれば、一度検査を受けることをおすすめします。また、耳から情報を認知することが難しい場合、相手の話を聞き取ることが難しくことばでのコミュニケーションが苦手になる傾向も見られます。
新しい環境や慣れない環境など、普段と違う状況においては精神的に緊張しやすい傾向もあります。さらにそのような環境・状況から吃音に繋がることもあります。そして着替えなどのように生活で必要な身の回りの生活スキルについては、手先の器用さなども大きく影響するため習得に時間がかかることがあります。ただし、これらはゆっくりと取り組むことで少しずつできるようになるでしょう。
ダウン症候群のお子様との接し方
ダウン症候群のお子さまと接する際には、何点か気を付けるべきことがあります。まずはことばの理解についてですが、ダウン症候群のお子さまは聴覚的な反応は苦手でも視覚的な情報を捉えることは得意であるケースがあります。その場合、ことばだけでなく身振りや絵・絵文字など視覚的な情報を交えながらコミュニケーションをとりましょう。ことばを掛けるときはゆっくりかつはっきりと話してあげましょう。
また、お子さまの可能性や得意なことをしっかりと伸ばしてあげることも重要です。できることを一つずつ増やしてあげながら、「できた」に気づきたくさんほめてあげましょう。意欲や責任感をもって自ら取り組む場合には、事前に「できる」に繋がる工夫を施したりお子さまから「手伝ってほしい」という要求が出るまで待つなどしてあげましょう。もちろん必ずしもどのお子さまにも当てはまるというわけではありませんが、一人一人の可能性を伸ばしてあげられるように環境を整えてあげましょう。
可能性を広げよう
世の中にはさまざまな人がいて、人によって得意・不得意は違います。ダウン症候群のお子さまも同じで、ただ先天的にそういった特徴を持って生まれてきただけにすぎません。他の方に比べると苦手なことが多いケースもあると思いますが、他に得意なことがあるかもしれません。
成長スピードも人それぞれですし、できることも人それぞれです。しっかりと「できた」を見つけたうえで得意なことやいろいろな可能性を広げてあげることで、また新しいこともできるようになるかもしれません。否定するのではなく、できた部分をしっかりとほめてあげることで前向きに取り組めるようにサポートしてあげましょう。