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児童発達支援事業所での活動や教材

目次
「アライさんの発達ガイド」ナビゲーター・アライさん

発達障害を持つお子さんの児童発達支援では、主に「絵カード」などの教材が使われます。

「絵カード」は、言葉で伝えることが苦手なお子さんにルールや手順を教えていくのに、自宅でも役立つツールです。

使い方や作り方、アプリの活用、期待できる効果についても説明します。

療育などにも活用される
絵カードって?

絵カード

絵カードは、言葉によるコミュニケーションが苦手なお子さんが自分の気持ちを伝えることを支援するために有効。

「トイレ」「行きたい」の絵カードでトイレに行きたいという意思表示が可能。

スケジュールを視覚化することにより、見通しが持て安心させることもできます。

しかし、ピクトグラムにもみられるように、絵や記号は万人共通に「あったら助かるもの」であり、決して特別なものではありません。

次に何をしたらいいかを示せる

絵カードを効果的に利用することで、次に何をしたらいいかを示すことができます。

例えば、着替えの順番がよく理解できない場面であれば、「①シャツをきます」「②ズボンをはきます」のように順番に絵カードを見せることによって、ヒントを得てひとりで着替えられるようになります。

同様に、朝のスケジュールを起床時から順に絵カードで並べることにより、次に何をしたらいいか理解できます。

ポイントは、時間も時計の絵で視覚化すること。

時計の時間を読めなくても形で判断することができます。

もっていくものを、
カードを見ながら準備できる

発達に問題を抱えているお子さんは、忘れ物が多いことで叱られて凹みがち。

言葉で何度説明、指示しても行動に移すことができないため、絵カードで視覚化して理解させることが大切です。

幼稚園や保育園に持っていくものは、特別なイベントがない限り毎日ほぼ同じ。

「ハンカチ」「シャツ」「ズボン」「れんらくちょう」など、持ち物の絵カードを作ってボードなどに貼り、カバンにいれたらカードを外していくという作業をすることで、確認ができます。

保護者も目で見ながら一緒に確認できるので安心です。

イラストだけでなく写真や文字を使ってもいいでしょう。

気持ちを伝えられない、
わからないときに使う

絵カードは、言葉で気持ちや意思を上手く伝えられないお子さんが、周りに表現するためにも使えます。

幼稚園や保育園にトイレのマーク(ピクトグラム)が描かれた絵カードを持参すれば、保育士に見せることによってトイレに行きたいという意思を伝えることが可能。

おもらしの嫌な体験を回避することもできます。

発達障害があると自分の意志を伝えることだけでなく、相手の表情や態度、声の調子などから感情を読み取ることも苦手です。

喜怒哀楽のさまざまな表情とその感情を言葉で表した絵カードを利用すれば、日常生活の場面で、相手がどんな感情を持っているかが理解できます。

嫌な表情を引き起こす言葉や行動にも注意できるようになるでしょう。

物事の手順がわかる

歯磨きや入浴などの作業は、何のためにするのか、何が始まりで何が終わりなのかがよくわからず、嫌がったり、一部分の同じ作業だけを続けたりしてしまうことがあります。

歯磨きであれば、絵カードを使いながら「前歯4本、歯ブラシを上下に10回動かします」とできるだけ具体的な言葉による指示も与えれば、始めから終わりまで順序良く作業ができやすくなります。

入浴の場合も歯磨きと同様に手順を絵カードを活用すると、スムーズに進めやすくなります。

濡れてもいいようにラミネート加工したカードをめくって使用できるようにすれば、今自分が何をしていて次に何をすればいいかを理解することが可能に。

そして、1枚目だけでもお子さん本人の写真を使用することで、より自分事としてとらえることもできます。

気持ちの切り替えに活用

発達障害を抱えているお子さんの多くは好き嫌いがはっきりしており、自分の好きなことなら時間を忘れて没頭してしまう傾向がみられます。

食事や入浴の時間になっても言葉をかけただけでは、遊びや作業をやめないことがほとんど。

食事やお風呂のイラストを描いた絵カードを見せて言葉かけをしましょう。

イラストに注目することで、夢中になっていた気持ちを切り替えて、次の行動にうつりやすくなります。

かんしゃくを起こしたり、泣き続けたりするときも、好きなことを描いた絵カードを見せることにより、落ち着きを取り戻せることも増えていきます。

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絵カードの効果

当サイトが取材した、児童発達支援事業所「てらぴぁぽけっと」では、「絵カード」を活用してセラピーをおこなっています。

てらぴぁぽけっとの絵カード
てらぴぁぽけっとの絵カード

得られる効果や使い方などを、くわしく解説してもらいました。

Q:絵カードを使って、どのようなことを保育士様が行い、どのような効果が得られるのかを教えてください
てらぴぁぽけっと

お子様への言語理解を促していくために必要な学習を段階的に行っていきます。

例えば机上に数枚並べたカードにセラピストが「同じにして」と渡した1枚のカードを合わせて同じもの同士を組み合わせることによるものの識別の学習や、「りんごどれ?」のような指示で適切なものを選択してものの名前を憶えていくこと等を経て、次第に言語の表出の学習に進んでいきます。

Q:裏面の、それぞれの項目の意味、どのように活用しているか、これによってどんなコミュニケーションがお子様・保護者様と叶うのかなどを教えていただけないでしょうか
てらぴぁぽけっとの絵カード
てらぴぁぽけっと
  • 「マッチング」は物の識別を学習する内容です。机上に数枚並んだカードがある状態で、その中の1枚と同じカードを大人がお子様に渡し、「同じにして」と伝えます。お子様は同じカード同士を合わせます。
  • 「受容」では机上にある数枚のカードから大人が伝えたものを選択する学習を行います。ものの名前と実物を一致させる学習とも言えます。
  • 「表出」では「これ何?」と示されたカードの中の物の名前を言葉で言えるように練習を行います。
  • 「カテゴリー」では「受容」や「表出」で理解できるようになったそれぞれの名詞を「動物」「食べ物」「乗り物」のようなグループとして理解できるよう学習を行います。
  • 「機能」では椅子なら「座るもの」、靴なら「履くもの」のように、それぞれのものにどの様な使用の仕方があるのかについて理解を促していきます。「受容」として机上の数枚のカードから「座るもの、どれ?」と尋ねたり、「これは何するもの?」と尋ねて「履くもの」と「表出」できるようにしていきます。
  • 「詳細の説明」では「これはどんなもの?」という質問に対して「空を飛ぶ乗り物」のようにこれまで学んできたことを組み合わせて、詳しい説明ができることを目指していきます。

これらの過程を通じて、ご家庭ではお子様のできることが着実に増えていかれることを実感していただけるのではと思います。

いきなり家庭では難しいかも…とご心配のご家族に対しては、セラピーで使用している同じ教材を使用していただくことで、教室でセラピストとできるようになってからご家庭で試していただくというように段階を作っていくことが可能です。

Q:ご家庭でのおすすめの使い方や、保護者様へのアドバイスがあれば、教えてください
てらぴぁぽけっと

ABAの療育では、お子様の頑張りを積極的に褒めて関りも作っていきますので、学習を行いながら保護者様とお子様にとってのポジティブなコミュニケーションが行われるようになることを願っております。

しかしながら、日常生活を送りながら学習の機会を作っていくことは容易ではないこともあるでしょう。

カードにあるものの実物がご家庭にあればそれを使用して、日常生活のちょっとした場面で学習の機会を作っていただいても良いですし、学習をはじめる最初の段階においては、テレビや絵本を見ながら、「これと同じだね」というようにカードを見せるくらいでも良いと思います。

保護者様が無理を感じられない範囲で学習を取り入れていただければと思います。

Q:名詞カード制作の際のこだわりを教えてください
てらぴぁぽけっと

なるべく未就学のお子様にとって身近で、目にしやすいものを満遍なく学習いただけるように内容を検討しました。

たとえば、日用品には園生活でよく使用するであろう物を取り入れたり、動物なら普段の生活で見るものに合わせて動物園でよく見かけるような種類を取り入れています。

また、学習をすすめるにあたって小さなお子様でも安心してご利用いただけるよう、安全面に配慮してカードの角は丸みを帯びるようにしたり、お子様がカードを少々強く握っても簡単に折れたりしない厚み、お子様用の小さい机に数枚並べやすい大きさ、机からカードを選択する際に滑らせながら取りやすい素材等、工夫を取り入れています。

Q:今後、新たな教材を開発する計画はありますか?
てらぴぁぽけっと

今はものや動作の名称について特化したカードになっているので、もっとストーリー性の理解にもつなげられるようなカードを作りたいと考えています。

社会的なマナーの理解を学習していくための教材なども作れたらいいなと思っています。

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家庭と教室、Wでアプローチ

絵カードひとつでも、お子さんに対していろんな活用方法ができることがわかりました。

市販の絵カードやアプリを使って家だけでアプローチすることも可能ですが、やはり療育を活用しつつ、家でもアプローチしていくほうが、お子さんにも効果的。

てらぴぁぽけっとの方がお話しするとおり、教えてもらって、家庭でも取り入れていく方が、保護者様の負担も少ないはずです。

ちなみにてらぴぁぽけっとで使用している名詞カードは、販売もしているそうなので、療育で使ったものを家庭で使えると、お子さんも混乱しないという利点も。

てらぴぁぽけっとは、2022年3月30日現在、全国で37のエリアに展開しているので、公式サイトから、自宅近くに教室があるか探してみてください。

もちろん、他の療育施設も当サイトではご案内していますので、活用してください!

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2024年12月26日現在、全国に52教室を展開中。

応用行動分析(ABA)を用いたセラピーで、将来的に目指す行動に対し、今できることからプログラムを作成していきます。 保護者様との対話にも力を入れている、気軽に話せる相談先として頼れる存在です。

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