10歳までが大事って本当?
10歳は発達障害があるないに関わらず学習の壁を感じる時期
10歳の壁とは、そもそもなんなのでしょうか。
10歳=小学4年生になると、「電気」や「速度」など、頭の中でイメージしながら考えなければならない、抽象的な学習単元が始まります。
国語や算数の難易度も上がるため、学習面の壁にぶつかるお子さんは少なくありません。
また、10歳頃になると友達や親のことも客観的にとらえられるようになり、いろいろな角度から物事をとらえることから、こころの不安定や反抗的な態度が顕著にあらわれることも。
からだだけでなく、こころや思考も変化する思春期の入口に立つ時期であるため、発達障害の有無にかかわらず大きな壁を感じてしまうのです。
発達障害の場合は、より強烈に壁を感じる可能性も
学習内容が抽象化し、難易度も上がる10歳の壁は、発達障害のあるお子さんにとっては、より強烈に感じることがあります。
たとえば、国語で“登場人物の心情や行間に込められた想いを読み取る”といった課題が苦手なお子さんも少なくありません。
個性の確立や自我の目覚めの時期でもあるため、自己肯定感の有無に差が生じやすく、この時期に通常学級から離脱するお子さんも多いと言います。
また、ギャングエイジと言われ、集団を形成しやすい時期に、同級生とのコミュニケーションがうまくいかないことも。
グループから疎外されることにより、不登校などの二次障害を引き起こしてしまうこともあります。
10歳までに備えておくことが大事
発達障害のあるお子さんは10歳の壁がより強烈に訪れるため、10歳までに苦手の把握やどうすればやる気がでるのかなど、傾向を知って地道に対応していくことが大切です。
ここからは、勉強がわからないと悩むお子さんにできる、支援のヒントを紹介します。
学びの支援の仕方
“何が分からないか”を探る
学習でのつまずきが続くと「何がわからないのかがわからない」状態に陥ってしまいます。
就学前であっても、わからないことで困っているときは、「何がわからないのか」を理解してあげることが、最初の一歩です。
そうすれば、どうしたらわかってくれるか、具体的な支援につなげることができます。
お子さんに合う学び方を探す
発達障害のあるお子さんは、こだわりの強さや新しいことが苦手など、学習以外の難しさを特性として持っています。
そのため、そのお子さんに合った学び方を探すことが大切。
こだわりが強いのであれば、図や絵などの視覚情報が多い絵本を与えたり、短時間集中型の学びをくり返したりすれば、効果的です。
また、「紙面がまぶしい」「どこを読んでいるかわからなくなる」といった場合には、紙面の色の変更や、読む場所を目立たせるといった工夫も有効。
褒めて伸ばす
苦手なことを途中でなげだしてしまい「自分はできない」という挫折をくり返すことで、勉強を嫌いになるだけでなく自尊感情の低下を招くことも。
適切な量、少し頑張ればクリアできる課題を与えて、できたら大袈裟に褒める成功体験を積み重ねてあげることが能力を伸ばすポイントです。
学習プランはスモールステップで
発達障害のあるお子さんは一度に複数の指示をされて活動することが苦手で、途中でパニックになってしまうことがあります。
意識したいのは、スモールステップ。
課題や指示は1つずつ区切って与えてあげること。
たとえば「おもちゃ箱からブロックを取り出して、赤と緑のブロックで四角いビルをつくりましょう」という指示では、途中で何をすればいいのかわからなくなってしまうでしょう。
「取り出し、赤と緑の選別、四角いビルをつくる」と3つの指示を区切ってあげることで、活動しやすくなります。
この積み重ねが小学校の「先生の話を聞く」「黒板の文字を読む」「ノートに板書内容を書く」など、ひとつずつの取り組みやすい学習活動につながるでしょう。
園の先生たちと連携する
就学前のお子さんは、多くの場合、家庭と幼稚園や保育園の2つの世界を行き来することになります。
基本的な生活習慣やルールの面で、家庭では許されるのに園では厳しくしかられる、またはその逆であれば、いわゆる二重拘束(ダブルバインド)でお子さんは何が正解かがわからずとまどってしまうでしょう。
食事や身支度や排せつなど、身の回りのことは毎日共通して行うことなので、家庭と園の先生たちと連携することで、同じ対応ができるように歩調を合わせていきましょう。
「脱いだものを片付ける」など、園と家庭で共通の目標に取り組むのも効果的。
ただ、ストレスから園と家庭での態度に二面性が出てしまうことも。
園や家庭での様子を情報交換しながら、お子さんの“苦手やストレス”の解消にも努めてあげましょう。
「子どものために」と、たとえばママだけ、パパだけががんばったり、家族単位だけでがんばっていると、保護者様がつぶれてしまいます。
保護者様がつぶれてしまうことは、子どものためにもなりません。
学校や園だけではなく、たとえば療育している事業所、同じ発達障害を持つ保護者同士のコミュニティなど、いろんなことを活用して、少しでもこころとからだの負担を軽くしてください。
このサイトを制作するために取材した児童発達支援事業所のてらぴぁぽけっとでも、保護者様とのお話の過程で、事業所から園に連絡を取って連携をしていくこともあると言っていました。
お子さんの発達障害に向き合うのは今だけではなく、先は長いのです。
自分たちだけでがんばろうとせず、ほかからのアプローチも試すなど、活用できるものはしていってください!