周囲の理解が得られないときはどうする?
発達障害の特性について広く知られるようになってきた今でも、「育て方が悪い」「甘い」「障害の決めつけ」など、家族や周囲の無理解や厳しい視線に悩む保護者は少なくありません。
ここでは、そんな理不尽な状況に、どう対応するのがいいのかまとめています。
無理解な夫(妻)への対応
お子さんの養育に直接関わる両親のいずれかの無理解、意見が合わないことは、周りの理解が得られないよりも辛いものです。
夫婦共働きであっても、ママさんの方に子育ての比重が偏ることが多くなるため、「夫が子どもの障害を認めてくれない」という意見は、よく聞かれます。
仕事が忙しく、じっくりと子どもに向き合う時間がなければ、お子さんの障害に気づくことも少ないでしょう。
お子さんの様子や発達障害について説明しても理解してもらえない場合には、発達相談や受診など、大切な局面に引っ張り出して、夫婦で同席するようにしましょう。
「一緒にいてもらった方が心強い」と言えば、頼られる喜びから夫(妻)の子育てに対するやる気をうまく引き出すことができます。
医師や専門スタッフに直接会って話を聞くことにより、当事者意識も芽生えるかもしれません。
無神経な祖父母世代への対応
祖父母世代は、知的障害については理解できても、発達障害の理解、受容が難しい傾向がみられます。
お子さんと同居しておらず、たまに会う際の会話や行動に特段異常を感じられなければなおさらのこと。
溺愛型であれば「子どもが傷つく」「決めつけるなんてかわいそう」と同情し、教育熱心な過干渉型であれば「親の育て方が悪いだけ」「障害があるなんて認められない」と恫喝することもあるでしょう。
周りへの体裁だけでなく、孫がかわいいからこそ無神経な対応をとるのだと思われます。
しかし、孫は祖父母にとって養育の責任が問われない、いわば手放しでかわいがるだけの存在。
そのため「子どもの将来、一生に責任を持つのは親です」と毅然な態度で臨むことが大切です。
一時的に祖父母との関係が悪くなっても、長い目で見守ってくれればきっと親の判断が正しかったとわかってくれる日がくるはずです。
「子どものためを思って」の
おせっかいに対して
発達障害に無理解、無関心であるのではなく、教育熱心なあまりにお子さんの気持ちに寄り添えない親や先生、周りの支援者などがいます。
熱心な無理解者ともいえる人たちは、「障害があるからこそ、今つらくても頑張らせなくてはならない」「こだわりはわがままなので、応じるべきではない」など、もっともらしい誤った持論を主張。
できないことばかりにスポットをあてて、どうすればみんなと同じようにできるようになるかと障害の克服に執着することも。
そういった人に対しては、距離を取れる人であれば取ることがいちばん。説得しようと思うと、疲れるだけです。
園で理解されて
いないと感じたら
保育園や幼稚園では発達障害に対する研修も実施されていることも多く、保護者よりも先にお子さんに発達障害の疑いがあることを知らせてくれることもあります。
しかし、なかにはまだ理解不足で、「指示が聞けない子」「ルールが守れない子」「友達とすぐにトラブルを起こす子」と問題児扱いされて、家庭のしつけが不十分であると指摘されることも。
そんなときは、お子さんの特性や苦手なこと、家庭で実践している関わり方などを伝えて、園でも適切な支援をしてもらえるようにしましょう。
園と連携して、お子さんにひとつの目標に取り組ませる、言動に対して同じ対応をすることも大切です。
アプローチも有効
療育に通っていれば、その児童発達支援事業所で相談をして、連携をとってもらうのも手です。
このサイト制作のために取材させてもらった、児童発達支援事業所「てらぴぁぽけっと」でも、保護者様から相談を受けて、保育園や幼稚園に連絡し、「今はこういった支援をしています」とお話しするようなこともあるそう。
専門の人からアプローチすることで、園にも「本気」や「現実」が伝わりやすくなるかもしれません。
会社で理解してもらうために
相談や受診、親子通園による療育など、保護者が関わらなければならない場面が多く、そのほとんどは平日の日中。
平日に仕事を休むことに罪悪感を覚えている人も多いのではないでしょうか。
いろんな経験談を読むと、ある種の「開き直り」と、大変さを赤裸々に語ることの大切さを語るものが多かったです。
また、「権利は権利」としつつも、サポートしてくれた人がいたら、「ありがとう」と感謝を伝える。
そしてもし恩返しできる機会があれば「あのときのお礼!手伝うね」など、「大変なんだからフォローしてもらえて当たり前」という態度ではなく、ある意味うまく立ち回ることが大事かもしれません。