きょうだいへのフォローはどうしてる?
発達障害の子どものきょうだい
発達に障害がある子どもがいるといつも目を離すことができず手もかかるため、つきっきりになりがちです。
体力的にも精神的にも疲弊している保護者様を見て、本当は甘えたいのに、なるべく面倒をかけないようにとがまんしがちになってしまうこともあるかもしれませんし、そうは思っていないのに「きょうだいに申し訳ない」と保護者様が罪悪感を持ってしまうこともあるかもしれません。
どちらも相手を思ってのことなので、少しでもこころを楽にしてもらえるヒントをまとめました。
きょうだいにしてあげたい
3つのこと
発達障害児のきょうだいは、親に甘えにくいだけでなく、発達障害特有の言動を目の当たりにするため、特性についての理解も必要となります。
我慢を強いられることが多いかもしれないきょうだいにしてあげたい3つのことについて紹介します。
きょうだいとも1対1の時間を作る
ゆっくりと時間はとれなくても、きょうだいとも1対1の時間をつくってあげましょう。
保護者様を独占できる時間をつくることで、きもちが満たされます。
そして、「大好きだよ」と言葉で伝えましょう。
自分も愛されているのだと安心することができます。
きょうだいが避難できる
場所をつくる
発達に障害があるお子さんは、かんしゃくやパニックを起こすことも少なくありません。
物や人にあたってしまうことも多いため、きょうだいがそばにいるとケガをすることも。
また、そのような場面をくり返し目にすることで、きょうだいのことを一時的にでも、嫌いになってしまうようなこともないとは言えません。
かんしゃくやパニックが起こったときに、ゆっくりと心が落ち着く場所を確保してあげることで巻き込まれずに済みます。
また、「発達障害にはこのようなこともあるのだ」とその特性を徐々に理解することにもつながるでしょう。
特性についての知識を
楽しく身に付ける
きょうだいに発達障害の特性について、一緒に身に付けていくこともおすすめです。
何も難しい説明をする必要はなく、「こんなことがあるから、その時はこんな風にしてね」と優しく教えてあげるだけで十分です。
きょうだいが発達障害について知っている、関わり方をわかっていることに自信や誇りが持てるよう、楽しく身に付けさせることが大切です。
一点、注意したいことは、きょうだいを発達障害児のお世話係にしないことです。
発達障害の特性や関わり方についての知識を身に付けたからと言って、小さな親にしてしまうと大きな負担となります。
きょうだいたちの本音
ダイヤモンドオンラインでは、「障害者の兄弟姉妹『きょうだい児』、社会に見過ごされてきた生きづらさ」と題して、発達障害児のきょうだいへのアンケートが紹介しています。
SNSを中心に募集したアンケートの回答者は39人と決して多くはありませんが、きょうだい児当事者のつらかったことや良かったことなどの生の声をみることができます。
親には甘えにくかった
アンケート実施母数が少ないため、きょうだい児の全ての意見を網羅したものとは言えませんが、きょうだいに発達障害児がいたことで、親に甘えられなかったという子どもが多いことがわかります。
発達障害児にはどうしても手がかかるため、甘えたくても甘えず、親からも平等な接し方や評価を得られなかったと感じていたきょうだい児も多いようです。
「自分がしっかりしなくては」と子どもながらに大きなプレッシャーを抱いたり、周りからの期待が大きかったりして、子どもらしい当たり前の生活を送れなかったという意見も。
だからこそ、きょうだいだけが甘えられる時間をつくってあげることが大切です。
良かったこともある
「弱い立場の人に優しくなれた」「社会にはいろいろな人がいることを実感として理解し考えられるようになった」など、発達障害児のきょうだいで良かったという意見もみられます。
きょうだい児でなければわからない辛さもあるものの、そのことが自分の考えや性格に良い影響をもたらしたという声も数多くみられました。
なかには、職業選択にも影響したという声も。
障害のある人を支援する仕事に就き、充実した毎日を送っているきょうだい児もいます。
保護者様が限界を超えて
がんばりすぎないこと
発達障害のお子さんだけでなく、きょうだいもいる家庭では、保護者様が全てを抱え込んで限界を超えてがんばり過ぎる傾向があります。
お子さんにとって安心できるのは、保護者様が健康で笑顔でいること。
がんばり過ぎて体力的にも精神的にも疲弊してしまっては、余裕をもってお子さんに接することもできなくなります。
そのためには、人や、行政などの支援を頼ることに躊躇しないこと。
発達障害の相談や療育ができる機関や施設はたくさんあり、各種サービスやコミュニティを活用することでも心身の負担を軽減することができます。
実はこのサイトの編集長も、年子のお兄さんがADHD。
編集長が子どものころは、まだ「発達障害」が広く知られていなかったので、年も近いし、学校で「あの子の妹だ」とからかわれたりすることが、イヤだったそう。
年が離れていると、気にしなかったかもと言っていました。
こんな風に、お兄さん本人が、というよりも、無理解な周囲の反応に傷ついたり、腹が立ったりする機会もあるかもしれません。
ただ、「家庭に何も問題や課題がない家族はあまりないと思う。うちは、それが発達障害の兄がいるというだけだった」とも言っています。
そう思えるまでには、少し時間がかかるかもしれませんが、ご家族だけでがんばらず、受けられる支援をフル活用して、一歩一歩進んでいきましょう。