限局性学習症/学習障害(LD)
幼児の限局性学習症/
学習障害(LD)とは
LDとは、聞く・話す・書く・計算・推論のうち、ひとつ以上の習得が難しいことをいいます。
よく勘違いされるのですが、知的発達の遅れはありません。
ディスレクシア(読字障害)、ディスグラフィア(書字表出障害)、ディスカリキュリア(算数障害)の3種類に分類されます。
LDは、幼児の時点では気が付きにくいものですが、小学校に入り、学年が上がるごとに勉強についていけなくなり、お子さんが苦しい思いをすることも多いため、少しでも早く気づいてあげることが大切です。
読むことが苦手な場合
読む力には「書かれた文字を音に書き換える力」「意味を捉える力」のふたつが必要です。
「ごはんをたべる」と書かれていたら、一般的には「ご飯を食べる」とスムーズに読めます。
それは、「ご飯」と「食べる」というそれぞれのまとまりを無意識に作るため、スムーズに読めるのです。
しかし、LDの特性がある子は、文字のまとまりが上手く作れないため、読むことが難しくなります。
書くことが苦手な場合
文字を書く時は「文字の情報を想起し、脳が手に指令を出す」という手順を経て、文字を書きます。
この文字を書くまでのプロセスに偏りがあると、書くことが難しくなるのです。
また、空間把握ができず、適切な大きさの文字が書けない、指先が不器用で鉛筆を正しく持てないなどの特性で、書くことが苦手な場合もあります。
文字を読み取る力や覚える力に困難がある場合は、黒板などの文字を書き写すのが難しくなります。
小学校に上がってからLDに気づくことが多いのは、そのためです。
聞き取ることが苦手な場合
必要な音を聞き取れないのは、いろいろな音が同じボリュームで聞こえてしまうことが原因です。
そのため、一見、話を聞いているように見えますが、「聞き間違いや聞き逃しが多い」、「質問に答えられない」ことは少なくありません。
また、テレビを見ながら食事をするなど、ふたつのことを同時に行うことも苦手です。
話すことが苦手な場合
脳の中の情報をうまく整理できないため、話の道筋を構成できず、何を言おうとしているのかわからなくなってしまいます。
「何を言っているのかわからない」と周囲に言われてしまうと、傷ついてしまい話す意欲を失う場合もあります。
それでも、悩みを周囲に伝えられません。
悩みを相談したくても、自分が何に悩んでいるのかわからず、ひとりで悩み続けてしまうのです。
計算が苦手な場合
計算が苦手といっても、困難に感じることはひとりひとり異なります。
記憶するのが苦手だと「計算途中の数を覚えられない」、読むことが苦手だと「計算問題はできるのに文章問題になるとわからなくなる」のです。
他にも、空間認知が苦手だと一の位・十の位・百の位と数字の位置関係がわからず、違う桁の数字を使って計算してしまったり、推論が苦手だと表やグラフから解答に必要な情報を見つけたりするのが難しくなります。
学年が上がると、
つらい思いをすることも
「1〜2学年教科の学習が遅れている」というLDの判断基準があります。
そのため、早期のうちに支援を受けないと、学年が上がるにつれて授業についていけなくなり、つらい思いをしてしまうでしょう。
LDは、努力不足や保護者の関わり方のせいではありません。
どんなことに困難を感じているかを見つけ、特性に合った工夫や支援が大切です。
おうちでできる対応のポイント
指示しすぎず、そばで見守る
子どもが苦手だと感じていることに対して、指示しすぎないことが大切です。
困ったときにはいつでもサポートできるように、そばで見守ってあげましょう。
そばにいるだけでも、子どもは安心して取り組めます。
教材はその子に合ったものを
教材は、子どもの特性に合ったものを選ぶようにします。
字の大きさがバラバラになってしまう子は、1マスが大きいノートがおすすめです。
計算が苦手な子は補助線があるもの、読むのが苦手な子は読む場所がひと目でわかるシートを活用しましょう。
話し方のルールを伝える
話すことが苦手な子は、話し方のルールがわかると話しやすくなります。
子どもの話し方を否定しないように「こんな風に話すとわかりやすいよ」「このことが伝えたかったのかな?」と正しい話し方を伝えていきましょう。
書くことに慣れていく
書くことが苦手な場合は、まず書くことに慣れることが大切です。
なぞり書きから練習し、徐々に模写や聴写していきます。
漢字が苦手なら、語呂合わせの句を作って覚えるのもおすすめです。
文字や絵を使って、
理解しやすい工夫を
聞き取るよりも、目で見たほうが理解しやすくなります。
文字や絵を使いながら説明するなど工夫してみましょう。
また、騒々しい場所では、聞きたい音が聞こえないので、一対一で丁寧に伝えるようにします。
苦手な部分を見つける
課題や宿題ができないのは努力が足りないからではなく、その子が理解できない要素が含まれているためです。
できないことを責めるのではなく、どうしたら理解しやすくなるかを考えるようにしましょう。
限局性学習症/学習障害(LD)
の診断時期と、
保護者様が抱え込まないために
LDの診断は、普段の様子に加えて、学校の成績や間違え方などをもとに、判断基準と照らし合わせていくことでおこなわれます。
人によってさまざまな特性があらわれるので、診断が難しいとも言われています。
だいたい7歳ごろには確定診断がされることがほとんどですが、高い知能を持つお子さんの場合、9歳ごろまで明らかにならないこともあります。
ただ、何歳で診断されたとしても、大切なことは、その子の特性を理解し、サポートしていくことにほかなりません。
保護者様だけで、またはひとりで抱え込まず、まずは周りに相談してください。
悩みを話すだけでも心が軽くなりますし、対応方法なども教えてもらえます。
児童の発達に関する行政や民間の施設も増えているので活用するのがおすすめです。
そして療育スタート!
療育に通うと、苦手なことを少しずつステップアップしていくことができます。
たとえば、うちの子ここが苦手だな、と思ったときに、お子さんにどんな方法が合うのか、保護者様だけで探し出すのは大変です。そういったときに、療育に通うことで、専門家と一緒に成長の道を模索できるのです。
通っている間、保護者様がほっとひといきつける時間にもなるので、このサイトで取材に協力してくれた児童発達支援事業所の「てらぴぁぽけっと」さんも、「気軽な気持ちできてほしい」と話していましたよ!
市区町村で通所受給者証という、療育施設や放課後デイサービスに通所するための許可証を取得すれば通えます。これは医師が「療育が必要」と認めれば受給できるので、「通所受給者証イコール発達障害確定」ではありません。
児童発達支援のことは次のページにまとめています。
このページには、日本全国各エリアでの通所受給者証の取り方や児童発達支援センター・事業所をまとめています。参考にしてください!