2歳児健診では何をする?内容と発達のチェックポイント
はじめに
「2歳児健診って、うちの市にはあるの?」「何をチェックされるの?」——1歳6か月児健診を終えた保護者から、よくいただく質問です。
2歳前後は、ことばが急に増える子もいれば、まだ単語がぽつぽつという子もいて、発達の個人差がとても大きい時期です。イヤイヤ期も重なり、「これは個性の範囲なのか、それとも発達の心配があるのか」と判断がつきにくくなります。
この記事では、2歳児健診で実際に行われる内容、見られている発達のポイント、そして「2歳児健診がない自治体」ではどうすればいいのかを、公的機関の情報をもとに整理しました。健診で気になることを言われたときの流れもまとめていますので、受診前の準備にお役立てください。
そもそも2歳児健診とは?法律で義務づけられた健診ではない
法定健診は「1歳6か月児健診」と「3歳児健診」の2つ
市区町村が実施しなければならないと法律(母子保健法第12条)で定められている乳幼児健診は、1歳6か月児健診と3歳児健診の2つだけです。この2つはお住まいの地域を問わず、全国どこでも無料で受けられます。
一方、それ以外の月齢・年齢の健診は、母子保健法第13条にもとづき、市区町村が必要に応じて実施する位置づけになっています。3〜6か月児健診や9〜11か月児健診と同じ枠組みです。
参照元:こども家庭庁 乳幼児健診に関する取組み(2026年9月調査時点)(https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/nyuyojikenshin)
2歳児健診は「自治体が独自に行う健診」
つまり2歳児健診は、実施するかどうかが自治体の判断にゆだねられている健診です。積極的に実施している市区町村もあれば、2歳向けの健診そのものがない市区町村もあります。
「友人の住む市にはあったのに、うちの市にはない」というのは、制度上ふつうに起こることです。健診がないことは、お子さんの発達を軽く見られているという意味ではありませんので、安心してください。
名称も対象月齢も自治体ごとに違う
2歳向けの健診は、自治体によって呼び名や対象月齢が大きく異なります。実際の例を見てみましょう。
- 2歳児健診(徳島県阿波市)……2歳6か月〜2歳9か月児が対象。健康診査、歯科医による健診、尿検査、生活習慣や育児全般の相談
- 2歳6か月児健診(滋賀県大津市)……2歳6か月〜3歳までが対象。問診・保健指導、身体計測、発達相談、栄養相談、歯の話、歯科健診、フッ化物塗布
- 2歳2か月児健診(静岡県掛川市)……身体計測、親子の歯科健診、フッ素塗布、個別相談、絵本の紹介
- 2歳児歯科健診・子育て相談(東京都練馬区)……2歳0か月頃が対象。問診、歯科健診、歯みがき相談、育児相談、食事の相談、発達相談
- 2歳児健診(新潟県魚沼市)……問診、歯科診察、生活習慣の話、計測、フッ化物歯面塗布、希望者への育児・栄養・歯科相談
このように、歯科健診を中心に据えている自治体が多いのが2歳児健診の特徴です。まずはお住まいの市区町村のホームページで「2歳」「歯科健診」「乳幼児健康診査」といった言葉で確認してみてください。
参照元:阿波市 2歳児健診(2026年9月調査時点)(https://www.city.awa.lg.jp/docs/2022031400039/)/大津市 2歳6か月児健診(https://www.city.otsu.lg.jp/soshiki/015/1475/g/ck/61775.html)/掛川市 2歳2か月児健診(https://www.city.kakegawa.shizuoka.jp/kakekko/docs/577130.html)/練馬区 2歳児歯科健診・子育て相談(https://www.city.nerima.tokyo.jp/hokenfukushi/hoken/nyuyoji/shika_kosodate_2_r3/index.html)/魚沼市 2歳児健診(https://www.city.uonuma.lg.jp/site/mamenko/1011693.html)
2歳児健診の内容|当日行われること
自治体による差はありますが、多くの2歳児健診は次のような項目で構成されています。
1.問診(事前の問診票+当日の聞き取り)
事前に郵送される問診票に記入し、当日に保健師が内容を確認しながら聞き取りをします。ことばの様子、遊び方、食事・睡眠・排せつ、生活リズム、家庭での困りごとなどが中心です。
ここが発達面のチェックの入り口になりますので、気になることは遠慮せず書き込んでおくことをおすすめします。
2.身体計測
身長・体重を測り、母子健康手帳の成長曲線に記入して、これまでの伸び方と照らし合わせます。1回の数値そのものより、曲線に沿って増えているかという「流れ」が大切に見られます。
3.歯科健診・フッ化物塗布
2歳児健診の中心になることが多い項目です。2歳前後は乳歯が生えそろってくる時期で、むし歯のリスクが高まります。歯科医師がむし歯の有無、歯並び・かみ合わせ、歯みがきの状態を確認し、希望者にはフッ化物(フッ素)を塗布します。仕上げみがきのコツを教えてもらえる自治体も多くあります。
4.内科診察・尿検査など(実施する自治体のみ)
医師による診察や尿検査を行う自治体もあります。かぜ以外で受診する機会が減る時期なので、気になる身体症状があれば伝えておきましょう。
5.保健師・栄養士・心理職などによる相談
健診の締めくくりとして、個別相談の時間が設けられます。偏食、卒乳、トイレトレーニング、かんしゃく、きょうだい関係、保護者自身の疲れなど、育児全般が相談の対象です。発達相談の枠を用意している自治体もあります。
持ち物と当日の流れ
- 母子健康手帳
- 記入済みの問診票(アンケート)
- 自治体から届いた通知・受診票
- 尿検査がある場合は採尿容器
- おむつ、着替え、バスタオル、飲み物など
集団健診では受付から終了まで1〜2時間ほどかかることが一般的です。待ち時間に飽きてしまう年齢なので、お気に入りの絵本や小さなおもちゃがあると過ごしやすくなります。
2歳児健診で見られている発達のポイント
「発達検査」のような形で点数がつくわけではありません。問診と、会場でのお子さんの様子の観察を通して、ことば・人とのやりとり・遊び・行動のバランスが見られています。
ことばの発達
- 意味のある単語がいくつか出ているか
- 「ワンワン、きた」のような二語文が出始めているか
- 「ちょうだい」「持ってきて」などの簡単な指示が通るか
- 大人のことばをまねようとするか
国の調査では、一語以上のことばを話す子どもの割合は1歳6〜7か月未満で9割を超えています。2歳は、そこから語彙が増え、単語と単語をつなげ始める時期にあたります。ただし伸び方は一人ひとり違い、静かな助走期のあとに一気に話し出す子も少なくありません。
参照元:こども家庭庁 令和5年乳幼児身体発育調査 調査結果の概要(2026年9月調査時点)(https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/r5-nyuuyoujityousa)
人とのやりとり(社会性・コミュニケーション)
発達障害の早期の気づきにつながりやすいのが、この領域です。国立障害者リハビリテーションセンターは、1歳6か月児健診の時点で、アイコンタクトと呼名反応、模倣、大人の注意を引く行動、共同注意(指さしの先を見る・指さしで伝える)、みたて遊び、社会的参照(困ったときに大人の表情を確認する)といった行動を確認する重要性を示しています。2歳の健診でも、これらが日常的に見られているかが引き続き見られます。
- 名前を呼ぶと振り向くか
- 目が合い、うれしい気持ちを共有しようとするか
- 指さしで「あれ見て」と伝えてくるか
- 大人のしぐさをまねるか
参照元:国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター 健診での気づき(2026年9月調査時点)(https://www.rehab.go.jp/ddis/aware/baby/check/)
遊びの広がり
積み木を電車に見立てる、ぬいぐるみにごはんを食べさせるなど、見立て遊び・ごっこ遊びが出てくるかどうかも観察されます。物を並べる、回るものをじっと見つめるといった遊びに強く偏っていないかも、あわせて見られます。
行動・感覚の特徴
- じっとしていられない、目を離すとすぐいなくなる
- 切り替えが難しく、かんしゃくが長引く
- 初めての場所や音を極端に嫌がる
- 特定の食感・味しか受けつけない強い偏食
2歳はイヤイヤ期と重なるため、この時期の行動だけで判断することはありません。「いつから」「どんな場面で」「どれくらい続くか」をあわせて見ていきます。
生活習慣
食事の様子、睡眠リズム、排せつの自立の見通しなども確認されます。生活リズムの乱れが日中の落ち着かなさにつながっていることもあり、暮らし全体から整理していくための聞き取りです。
「2歳児健診がない」自治体ではどうすればいい?
1歳半健診と3歳児健診の間は1年半あく
法定健診だけでいくと、1歳6か月児健診の次は3歳児健診です。その間は約1年半、公的に発達を見てもらう機会が空きます。ことばや対人面の変化が大きい時期だけに、この「空白」が不安につながりやすいところです。
使える相談先はいくつもある
- かかりつけの小児科……予防接種や体調不良の受診のついでに相談できます。聞こえや中耳炎の確認は、ことばの遅れの背景を調べるうえでも大切です
- こども家庭センター・保健センター……保健師による発達相談を随時受け付けている自治体がほとんどです。健診がなくても相談だけなら可能なことが多くあります
- 保育園・幼稚園・子育て支援センター……集団での様子を知る担任や支援員の見立ては、家庭とは違う角度の情報になります
- 児童発達支援センター・発達障害者支援センター……発達の専門的な相談窓口です
記録を残しておくと相談がスムーズ
相談の場でお子さんがいつもの様子を見せてくれるとは限りません。気になる場面の短い動画、話せる単語のリスト、困りごとが起きた日時と状況のメモがあると、専門職が状況をつかみやすくなります。母子健康手帳の保護者記録欄に書き込んでおくのもおすすめです。
健診で「様子をみましょう」と言われたときは
経過観察は「診断」ではありません
乳幼児健診は、その場で診断を確定させる場ではなく、支援が必要な親子に気づき、次の支援につなげるための場です。国の実践ガイドでも、健診は疾病のスクリーニングだけでなく、親子が主体的に課題に取り組めるよう支援することを目的とし、健診後は電話・訪問・面接、親子教室や発達相談といった事後の支援につないでいく流れが示されています。
「様子をみましょう」は、いま判断を急がず、一定期間かけて伸び方を確かめましょうという意味合いです。過度に重く受け止める必要はありません。
参照元:国立成育医療研究センター 乳幼児健康診査事業 実践ガイド(平成30年3月)(2026年9月調査時点)(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000520614.pdf)
そのあとの一般的な流れ
- 数か月後に保健師から電話・訪問・再面接がある
- 親子教室(事後教室)や発達相談会への案内
- 必要に応じて心理職による発達検査、医療機関の紹介
- 児童発達支援などの支援サービスの情報提供
どの段階で止まってもかまいませんし、途中から再開することもできます。案内を受け取ったら、まずは日程だけでも押さえておくと選択肢が広がります。
診断がなくても支援は受けられる
児童発達支援は、発達障害の確定診断がなくても、市区町村が支援の必要性を認めて通所受給者証が交付されれば利用できます(医師の意見書などを求められる場合があり、手続きは自治体によって異なります)。「診断がつくまで何もできない」わけではありません。ことばや人との関わりが伸びやすい時期に、お子さんに合った関わり方を家庭と一緒に組み立てられるのが、この時期に支援を使う良さです。
健診までに家庭でできること
- 気になることをメモにまとめる……当日は慌ただしく、聞きたいことを忘れがちです。3つほどに絞って書き出しておきましょう
- 実況中継の声かけ……「くつ、はこうね」「赤いバス、きたね」と行動を言葉にして、単語と意味を結びつけます
- ことばの言い足し……「ブーブー」には「ブーブー、はやいね」と一語足して返すと、二語文のモデルになります
- 歯みがきの習慣づけ……歯科健診が中心の健診では、仕上げみがきの様子も見られます。嫌がる場合の工夫も相談できます
- 生活リズムを整える……起床・就寝・食事の時間を一定にすると、日中の落ち着きにつながりやすくなります
Q&A:2歳児健診のよくある疑問
Q:2歳児健診は受けないといけませんか?
A:法定健診ではないため義務ではありませんが、むし歯の予防と発達の確認ができる貴重な機会です。案内が届いたら受けておくことをおすすめします。
Q:費用はかかりますか?
A:自治体が実施する健診は無料であることがほとんどです。フッ化物塗布のみ有料という自治体もあるため、通知でご確認ください。
Q:当日に泣いてしまい、うまくできませんでした。評価に影響しますか?
A:その場でできなかったことだけで判断されることはありません。家庭ではできている場合は、その旨を伝えてください。動画があると伝わりやすくなります。
Q:まだ二語文が出ません。心配したほうがいいですか?
A:二語文の出る時期には幅があります。ことばだけでなく、呼びかけへの反応、指さし、まね、遊びの広がりもあわせて見ていきましょう。気になる状態が続く場合は、聞こえの確認も含めて相談を。
Q:日程が合わず受けられませんでした。
A:次回の日程に振り替えられる自治体が多くあります。保健センターに連絡して相談してください。
まとめ
2歳児健診は法律上の義務ではなく、実施の有無も内容も自治体によって差があります。多くは歯科健診を中心に、身体計測・問診・育児相談を組み合わせた形で行われ、ことばや人とのやりとり、遊びの広がりといった発達面も、問診と観察を通して見られています。
お住まいの地域に2歳児健診がなくても、かかりつけ医、こども家庭センター、保育園、児童発達支援センターなど相談できる場所はあります。「気になるけれど、健診まで待つしかない」と抱え込まず、早めに声をかけてみてください。
2歳は、まわりの子と比べて焦りやすい時期でもあります。それでも、お子さんの育ちは平均値の上を進むものではなく、その子のペースで少しずつ形になっていきます。小さな変化を記録しながら、必要なときに支援の手を借りていきましょう。

